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フォトナがAppleストアから削除はされたけど・・・
日本時間8月14日の午前ごろ、Epic Gamesの基本無料ゲームアプリ『フォートナイト』がApp Storeのガイドラインを違反したとしてApp Storeから削除されました。違反内容はフォートナイト側がApp Storeを通さずに課金できる方法を導入したためです。
その報復としてEpic GamesはAppleを提訴しました。さらにEpic Gamesは『フォートナイト』のゲームキャラクターを使ったデモムービーなどを作成し、ユーザーたちへAppleの不当な支配に対して一緒に戦って欲しいと呼びかけを行っています。
なにかおかしい
そう思いませんか?
私はそう感じました。もちろんApp Store(やGoogle Playストア)から削除されることはスマートフォンアプリ市場を手放すこととほとんど同義ですから、かなりの売り上げ減少が容易に予想できます。今後もスマホアプリ市場でシェアを広げて行きたかったはずです。
しかし、今回のEpic Gamesの対応速度を見るとどうも一連の流れが出来すぎている気がします。
①『フォートナイト』が規約違反をする
↓
②App Storeから削除される
↓
③Epic GamesがAppleを提訴する、デモムービーなども公開
今問題になってるGAFAの支配に対して一石投じる役は、誰かがやらなくてはいけません。私が思うに今回エピックはスマホ市場を犠牲にあえてそれを買って出たのではないかと思っています。
スマホ市場はいらない?
『フォートナイト』は元々2017年から続くPCゲームです。2019年には賞金総額3000万ドル(約32億円)の巨大な世界大会を開催できるほどの超人気ゲームになりました。
最近は米津玄師のライブが『フォートナイト』のゲーム上で開催され話題になりましたね。
そして現在はPC(EpicStore)、PlayStation(PS4)、Nintendo(Switch)、Microsoft(Xbox)という様々なプラットフォームで配信されており、巨大な家庭用ゲーム機市場での売上も確保できています。
ここで特筆すべき点として『フォートナイト』はスマホゲーム市場においてアクティブ(シェア)をあまり獲得できていないことが挙げられます。大きな理由としては以下の2点。
- スマホでの操作が非常に難しい
- 求める動作環境が高いため、廉価なスマホでは動作しにくい
順を追って説明してみます。
フォトナの複雑なゲーム操作
『フォートナイト』は従来のFPS(ガンアクション)に「建築」という、壁や床などをユーザーが戦闘中に設置できる機能を追加した複雑なゲームです。単に撃ち合うだけではなく、互いが有利な場所を作り合いつつ戦闘を行うゲームになったことで、幅広い戦い方で遊べるゲームになりました。
しかし、これをスマホでも同じことが出来るかというと、正直厳しいです。
従来のゲームは撃ち合うだけですが、『フォートナイト』は元々PCゲームとして開発されたものなのでボタンが非常に多いです。壁を作るボタン・床を作るボタン・銃を選ぶボタン・攻撃するボタン・キャラを動かすボタンにまだまだあります。
そのためスマホユーザーからはその操作の複雑性からあまり満足度を得られていないのが現状です。
求める動作環境の高さ
フォートナイトは広いフィールドで最大100人が集まって戦うゲームになるので、3Dモデルのキャラクターやフィールドを処理するCPUとグラフィック能力、それを通信するWi-Fi環境が求められます。
~2万円のスマートフォン端末では快適な動作はまず出来ないでしょう。遊ぶためには最低でも3~5万円、快適に遊ぶには5~10万円の端末が必要になります。気軽に出来るゲームではないためユーザーの増加率もあまり芳しくありません。
上記の2点などの理由から『フォートナイト』はスマホ市場でアクティブをあまり得られていません。従来のFPSゲームである『PUBG』『荒野行動』『CoD』等にユーザーを取られているままです。
しかし、PCやPS4等においてのアクティブは未だに高く(全盛期と比較すると落ちたが)、売り上げもある程度は確保できていますので、現在のエピックにとってスマホ市場はあまりプラスになっていないと言えます。
今回の事件でEpic Gamesが得することが多すぎる?
この騒動でエピックの得すること・損することを考えてみます。
得
- 話題性の確保
- GAFAの支配に反対する支持層から賛同を得る
- この訴訟で根幹の問題が解決すればヒーロー
- 訴訟で負けてもGAFAの支配に一石投じた地位は得られる
- フォトナのスマホユーザーをPS4など他ゲーム端末に移行してもらえる可能性
- フォトナのPC等ユーザーからお情け課金が望める?(笑)
現状App StoreやGoogle Playストアのロイヤリティー30%は世界でも問題視されており、すでに米国等では捜査が行われています。そのためEpic Gamesのような米国の巨大企業が真正面から一石投じたことには非常に大きな意味があると私は思います。
Epic Gamesがガイドライン違反をしておきながら提訴するのはおかしいかと思われるかもしれませんが、Epic GamesもApp Storeなどと同じく1つのプラットフォームでありロイヤリティー12%で展開しているだけでなく、ライバルであるSteamのロイヤリティー30%に対しても何度か批判しています。そのため今回の提訴もこれまでの経緯を考えると際立っておかしな行為ではないと言えるのではないでしょうか。
逆に損をすることを考えてみます。
損
- 今後新たなスマホユーザーを獲得できない
- スマホ市場の売り上げがなくなる可能性
- ガイドライン違反から既存のユーザーに見限られる可能性
- 訴訟でボロ負けする可能性
- 世界から批判される?
こんなところでしょうか。
何度も言いますが、今回のガイドライン違反はどうみてもApp Storeから削除される内容です。半分マッチポンプと言われてもおかしくはない出来事ですから一部の既存ユーザーからは支持を得られない可能性は十分にあります。
しかし、それを考慮してでもEpic Gamesが唱えたかった異議の代償としては安いものなのではないでしょうか。
総括
『フォートナイト』は素晴らしいゲームとしてPC、PS4、Switchなど幅広いゲーム機市場で売り上げとアクティブ率を誇っているが、スマホでは建築しながら戦うフォトナの操作が難しいため、結局PUBGや荒野行動にアクティブで勝てていない。
ここまでが前提情報。
今問題になってるGAFAの支配に一石投じる役は誰かがやらなくちゃいけないので、エピックは採算性低いスマホ市場を犠牲にしてでもあえてそれを買って出る。そうすればある程度の地位をゲットしつつ話題性の確保も出来るし、既存のPCやCSユーザー(特に課金者)からは支持得ることも出来るだろう、と。
自分にはそんな台本に見えましたかね。まあエピックのやったことは明らかにBAN対象ですし、BAN後の対応がどう考えたって早すぎます。
エピックの提訴に負けて欲しいとは思いませんが勝って欲しいとも今のところは思いません。しかし、自分もApp StoreやGoogle Playストア等のロイヤリティー30%がいくら”相場”であっても、それ自体は明らかに高いと思いますので改善に至ってくれれば良いかなと考えております。
それではまた。
参考文献
WEDGE:GAFAはどうなる?独禁法適用、巨大IT企業の個人情報利用
「https://wedge.ismedia.jp/articles/-/18262」
日本経済新聞:GAFAを独禁法違反で調査開始 米司法省
「https://www.nikkei.com/article/
DGXMZO47709880U9A720C1000000/」
Yahoo!ニュース:『フォートナイト』がガイドライン違反を理由にApp StoreとGoogle Playから削除
「https://news.yahoo.co.jp/articles/
6f3d4824058932fe2a907248f83c410dccf21e2e」
Super DATA:Worldwide digital games market: June 2020
「https://www.superdataresearch.com/
blog/worldwide-digital-games-market」