「ぬきたし2」の感想レビュー【名作】

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私的総合評価:S(90点)

脚本:★★★★☆
作画:★★★★☆
演出:★★★★★
音楽:★★★★★
キャラの魅力:★★★★★
ゲーム内最高ボルテージ指数:85

【評価・点数】S(90点)

大まかな感想(ネタバレなし)

各所で名作と評価された『抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?』のif系続編『ぬきたし2』。一言でまとめるとすれば、よくやった!!と言える作品。

ゲームの表向きの内容は、『反逆者として活動してきたNLNSの淳之介が、今度は異世界に飛ばされて取り締まる側であるSSのトップになりワチャワチャしながらSSBIG3を攻略していく』ものとなっています。

実際のテーマは、前作で青藍島のドスケベ条例が解決してこれでみんなが楽しい世界になったのかと思ったら、そんな世界でも追い詰められてしまうマイノリティ達は存在してしまうという話。そしてどうやってマイノリティとノーマルと一部のキチガイが共存していくのか、というのが『ぬきたし2』の真のテーマかな。

OPがBGMからしてめっちゃ熱い曲で、歌詞も ”ここで終わりにしよう”とか ”生きていたいだけ”なんて言っていたためそれ見合うだけのシナリオが本編にあるのか、とそれも合わせてちょっと不安でした。テーマ自体も一見危ないマイノリティが主題ですが、けれどもとんでもない!

やってみればすごい面白かったし良かった! お互いの気持ちを全力でぶつけ合うあんな熱い青春ドラマが待っていると誰が予想出来ただろうか。

前作でもありましたが主人公・淳之介の半分悪役みたいな行動も今作でちゃんと見ることが出来ますよ。きたないなさすが淳之介きたない。



個性豊かなSSメンバーたち

ドスケベ条例で学園を取り締まる側の人間ですのでとんでもなく濃いのがSSには集まっております。前作でのNLNSメンバーも相当濃かったと思いますが、今作ではキャラの掛け合いをより楽しめるゲームに進化しました。

四方八方の界隈にケンカを売りまくるやつ、やたら語尾に特徴があるノリのいいやつ、データを持ってないデータキャラ、おっとりしてるくせに超マニアックな性癖してるやつとか変化を楽しむような人間からすれば天国のような飽きない世界です。

そんなこんなで

前作を楽しめた人間であればこの続編もかなりおススメ出来ます。頭のおかしいゲームではあると思いますが物語としての芯はしっかりとしているのでプレイする価値は大いにあります。

そんな人はいないと思いますが2からプレイするのは非推奨です。完全に続編となっているのでチンプンカンプンになってしまうでしょうね。

今からプレイするのであれば私がおススメする順番は ぬきたし2本編→各アフター→スス子アペンド→文乃アフター→真ED といったところでしょうか。真EDはぬきたし1の文乃ルート(グランドルート)を前提としているので、自分は真EDの前にぬきたし1と文乃アフターを再度全部終わらせてから臨みました。一応この進め方をおススメいたします。

ということでみなさんにおススメできる良いゲームでした!

ここから先はネタバレありの批判もありの感想になります!



全体的な感想(ネタバレあり)

めっちゃくちゃ熱いゲームでしたね!

前作も濃ゆいキャラクターとぶっ飛んでいるようで割と整っているシナリオが合わさり面白い作品でしたが、SSのキャラを攻略できないという重大なバグがありましたから続編にて魅力あるSSのキャラ達をようやく攻略できるのは嬉しい限りでした!

ただちょっと長めのシナリオであるため、プレイ中は「これ初代の方が面白かったかな~」とか自分も含めてそれなりの方が思ってしまうみたいですが、終わってみればやっぱり良くできているゲームだと思えます。私もそう思いました。

扱っている内容がかなり時事的にも際どい話題ですから確かにそれだけでちょっと距離を置きたくなる方もいらっしゃるかもしれません。自分も一瞬身構えてしまう人間です。

しかし今作に関してはマイノリティ側代表・水引とノーマル側代表(?)・淳之介ら双方の意見はどれも的を得ていたと思いますし、淳之介の理解しつつも薄汚い悪役的行為で相手を止めようとするところでちょっと笑ってしまったりQruppoの作り出す上手い掛け合いを見れて楽しかったです。

現実的な話を少しすれば、結局マイノリティという存在はいくら考慮したところで第二第三と出てくるものなので全体的な解決は無理って結論に至ってしまうのが切なかったかな。淳之介は歩み寄る努力が必要としていましたね。私は妥協派です。『正解はない、あるのは妥協だけだ(PSYCHOPASSより)』互いが互いを傷つけない程度に妥協して生きていきたいね、おっと話がそれた。

あとこのぬきたし2では1へのリスペクトが各所で見られるのもかなりいいと思います。キャラの扱い方がQruppoはとても上手いですね。1で悪役に徹していた防人老人も2では淳之介の行動にドン引きしたり苦言を呈すのも面白かったですし、特に師匠のマニラからの援護射撃はマジで爆笑しました。



ルート感想、評価(良かったもののみ)

礼ルート

評価:★★★★★

前作のヒナミルートで裏ヒロインとして理解することしか出来なかった礼ちゃんを今度は真正面から攻略出来るシナリオ。テーマはずばり『共闘』。

B世界において一気に親密になる淳之介と礼ちゃんたちの姿にゲームを進める速度がだいぶ加速した気がします。それだけにせっかく元の世界でドスケベ条例が解決したのに再度ドスケベ条例のある世界に戻され苦悩する礼ちゃんの姿に心痛くもなりました。

けれどもそんな礼を理解してことあるごとにドスケベから守り抜こうとする淳之介の行動もとにかくかっこよかったです!

礼の回想ではちょっと苦しい気持ちも味わいましたが毒親に汚されながらも自分の守りたいものを守るために耐えに耐え、自分が壊れそうでも必死に貫き通そうとする精神力に惚れない人間がいるでしょうか。いや私も惚れる。

郁子ルートなどでは成人後も描かれていましたが、礼ルートでもちょっと見たかったな~という心残りだけありますかね。

どうでもいいですが、礼ちゃんにはKing gnuの『白日』がとてもよく人生を表していて似合っている曲だなーと思いました。カバーして欲しいなとか勝手に思っています。

スス子ルート(アペンド)

評価:★★★★★+α

ぬきたし1で文乃を攻略しないグランドルート、2において誰も攻略しないグランドルートをなぞった結果のさらなるifルートとしてのアペンドディスク。通称100円の女。

アペンドディスクなので『ぬきたし2』の評価に混ぜてもいいのか謎ではあるが、真EDに並んで『ぬきたし1+2』の正式なグランドルートであると言っても良いのではないかと思えるほどキレイに終わっているのでついでに書いておこうと思う。全体的なノリも終始非常にぬきたしらしいものでプレイしていてとても楽しかった。ただただ楽しかった最高のルートだと思います。

まだ未プレイの人はプレイ推奨です!

未プレイを追い返したところで内容の感想と評価。

まず評価したいのは全体的な明るい雰囲気。埋蔵金を掘り当てて金問題を全部解決しちゃうというのも最初はそんなことで良いのか?とも思いますが一周回ってこれは全然アリでした!

B世界の淳之介含めSSがA世界でどのような振る舞いをしていたのかも気になっていたのでそれも楽しめましたね。

そして私的にはこれが一番よかったのですが、スス子のツッコミがいちいち秀逸で見ていて飽きないのがいい!

ほかのメンバーはやたら慰め感が強かったり、慰め方がヘタクソで限界オタクみたいだったり、やたらマウント取ってきたり、従順すぎる犬だったりと特殊な子が多かったのでスス子のようなノリがいい普通の子が天使に見えました。ツッコミが上手いのは思わぬ儲けモンって感じですね。

すすこすこ。



賛否・疑問点

礼ルートが一部過激

幼少期の礼ちゃんがどうして青藍島に染まってしまったのか分かる回想があります、、あるんですけど、、私的には単なる虐待映像を見せられただけでただ心苦しいとしか思えませんでした。

人は誰しも許せない行為、例えば正義に反する行為や犯罪行為を各個人持っていると思います。

私は子供に対しての虐待行為がこの世で一番嫌いです。なのでプレイ中は「・・・。」って感じで読み進めることしか出来ませんでした。

(※個人の思想や嗜好について批判する気はありません、ただ私が嫌いなだけという話です)

子供への凌辱で興奮できる才能が自分にも有ればよかったんですけどねー。

各アフターの完成度が微妙

まあアフターなんて元々おまけ要素みたいなものですし、公式が作る2次創作といってもいいようなものなので完成度について言及するのは野暮かもしれません。

じゃあ何でこんなこと言うのかというと本当にモヤモヤするアフターだから。

何がモヤモヤするのかというと問題があまり解決してないところ。作中で淳之介すら今後どうなるのだろうかと思っている描写が多いのでプレイヤー側は結局どうなるの?と思うことしか出来ないのです。

(アフターは本編の評価とは別で評価するべきじゃないかと思われるかもしれませんが、これに関しては『ぬきたし1』への追加ディスクではなく『ぬきたし2』本編からプレイする形になっているので一応『ぬきたし2』としての評価として投稿しておきます。)

ヒナミアフターのモヤモヤ

まず前作で私が一番最初にクリアしたヒナミルートのアフターストーリー。このルートでは前作においてNLNSが仁浦知事に直接対決で勝利しドスケベ条例を瓦解させ、SSなどの処遇は悪くしないよう約束を取り付ける形で終わっている。

それの続きとなる夏休みの出来事がメインで描かれているが、結局SSが島の中でどういう扱いになったのかわからない。SSBIG3以外のメンバーたちは桐香の働きにより当面の安全を確保してくれているものの、BIG3は一体どういう扱いをされていくのかが謎過ぎる。

バイト高校生としてやっていくのであろうが、ドスケベランドでバイトしてるSS(シューベルト)を見た淳之介が「SSの姿にたくましさを感じる」とか言ってるシーンを見たらあまりに無責任すぎるのではないかと思いました。

これはつまり、『自分の守りたいものを守れれば、相手が苦しい思いをしていてもまあいいか』的な思想。前作でも淳之介は仁浦知事に『お前がどうにかしろ』と投げつけっぱなしだったのも含めて、お前そんなことで良いのか?ってつい考えてしまう。私は弱き者の味方でありたいのでこうなると淳之介が悪に見えてきてしまいます。まあ悪なんだが。

ヒナミのウェディングシーンで礼ちゃんがいるところまでは書かれているのでどうにかなったらしいけれど、その過程はどうしてたのか自分は結構気になってしまいました。



奈々瀬アフターのモヤモヤ

続いて奈々瀬アフター。これはプレイヤーの多くがモヤッとしているのではないだろうか。前作では文乃を防人老人に引き渡しドスケベ条例を撤廃させる形で終わり、手放しで喜べない何とも微妙な空気感でしたね。

それに繋がるアフターなんですが、SSとSHOが解体されており開幕から結構ダークな感じになってしまっている。これまでSSとして頑張ってきた学生に対して全く救いがないのはいかがなものか。もちろん全くないわけではないがあくまで一時的な今後の処遇を少し加味してもらった程度で実質的にはまだまだ厳しい。

SSBIG3もバイトに追われる毎日なようで、これでは18歳未満の未成年者がドスケベ行為で生活をなんとかしのいできた境遇を考えるとかなりディストピアな世界線ルートと言わざるを得ない。

最後の文乃救出もかなり大雑把である。前作の奈々瀬ルートにおける最大の心残りだったがこれもぬきたしらしくないとって付けたような数クリックで終わる救出劇。防人老人とはどう決着をつけたのか、仁浦元知事と文乃の仲はどうなったのか、私は結構気になる人間なのでモヤモヤが半端ないです。

それ以外(※補足)

美岬アフターに関しては特に言及しない。もともと前作でもSSとSHOを乗っ取ったヤクザ連中とドスケベ条例をぶっ壊した結果、青藍島は観光地として成り立ち、SS等はクリエイティブな集団として日々活動して成り立っている様子。アフターにおいて文乃も特に問題を被っているわけでもなく、ヤクザ連中を除いて誰かが苦労しまくっている描写などはない。まともな世界だ。(あの二人がまともとは言ってない)

文乃アフターでは前作を元にぬきたし2本編の正史を綴ったものになっている。異世界の経験を経ていることでマイノリティ問題も解決されている様子。淳之介の服がダサいことも今回本人に伝わったようだ。そして約10年ほど後と思われる日常シーンも描かれており、ようやく、ついにようやく晴れて満願成就に至ったのは1プレイヤーとしてただただ嬉しかった。

私はぬきたし1を約2周、2を約1.5周したのでエンディングはかなり心にしみるものであったし、それからタイトル画面で気持ちの良い余韻を味わえました。

ゲーム内最高シーン

ぬきたし2で私的に一番盛り上がったのはこのシーンです。

やっぱこの兄妹なんだよなぁ・・・。

世界線が違う兄弟の抱擁、、ここに来るまで長い時間と労力をかけてきましたからね。これからB世界の淳之介と麻沙音が時間をかけて仲直りしていくと思うとそれも含めてダブルで涙が出ます。ええシーンや。

総括

ということで若干長くなりましたが立派な名作でした。

途中批判もしちゃってますが、それを考慮しても私が声を大にして名作と言える会心の出来だと思います。初代をプレイした方であればこの続編も大いにおススメ出来ますね。もっと言えばスス子アペンドまでしっかりとやって欲しいくらいです。

OP曲がとにかく熱くかっこいい曲なのでそこから入ってくる層も多いのではないでしょうか。私は初回特典のCD音源のやつを普段聴いていますが、欲を言えばハイレゾで配信してほしいです~~!

ぬきたしラジオも定期的にまだやってくれているので今後の公式の動きも楽しみ!

それではまた。



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