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まちカドまぞくは名作
私的総合評価:S(85点)
脚本:★★★★★
作画:★★★★
演出:★★★★☆
音楽:★★★★☆
キャラの魅力:★★★★★
【評価・点数】S(85点)
2019年夏アニメもそろそろ終盤ですが、みなさん「まちカドまぞく」をご覧になってるでしょうか。ツイッターやニコニコ動画など色んな所で「シャミ子が悪いんだよ」の言葉でかなりにぎわってましたよね。
深夜のちよもも② pic.twitter.com/WeTROwJc18
— イベリコ百合豚 (@iberico_yuri) August 17, 2019
実は私もこれを見て「そんなに話題の作品なのか!」と思ってみることにしました。
シャミ子が主人公だというのは知っていたので、主人公が悪いことして責められるアニメとかすごく気になりました。文言もどことなく「絢辻さんは裏表のない素敵な人です」みたいなちょっと闇のある感じの言葉で好き。
一応この記事はアニメ本編のネタバレ全開でいくので、まだ見てない方はブラウザバックをおすすめします。
私は一応原作を読破しておりますが原作のネタバレは書きませんので、アニメだけの方でもご安心ください。
どの辺が名作ポイントなのか
私はアニメファンであっても信者ではないので、文句も批判もガツガツ言っていきます。それだけまず念頭に置いといてください。
1話2話はクソほどつまらない
いきなりごめんなさい。アンチではないです。
恐らくですが「まちカドまぞく」を面白くないとか、凡作とか評価してる人は実際1話2話くらいで見るのをやめてしまっているのではないでしょうか。
ぶっちゃけ私も最初はスマホゲーやりながら暇つぶしに見てました。そんで全然面白くなかったです。
理由としては
①ギャグがつまらない
②なろうと言わんばかりのふわふわ設定
③敵同士のキャラが普通に馴れ合ってる
④一切進まない話
この辺りでしょうか。お話の導入としては仕方ないと思いますが、つまらないギャグとか連発させられてしまい共感性羞恥のようなものが働き画面をまともに見れませんでした。スマホゲーのスタミナ消化しながら見てた感じです。
ひときわ目立つ「十五夜(ゆたか)」。尾崎豊ネタなのはわかりますが、この並びで出されてしまうとちょっとキツイ笑
もうここに出すならこの名前でいけよ!って思うくらい。
ついでに魔族は暗黒役所への活動報告がいるとかギャグなのか設定なのか、いまいち判断しにくいやつ😓😓 今後見るのが思いやられる・・・😢w
そして敵同士のはずなのに和気あいあいと触れ合う魔族と魔法少女たち。
一体私は何を見せられているのかと考えていました。
こういうのは本当に苦手です。
主人公が魔族になっても何のとまどいもない、寛容な周りのキャラたち。ついでに敵である魔法少女は隣のクラス、よくわからんクラスメートの糸電話ギャグ。
精神がおかしくなりそうでした。
主人公と魔法少女の馴れ合いで「噛んだ?」とかありましたが、もう闇営業マンこと宮迫博之のアレみたいでほんとキツかったです。
去り際にも「これで勝ったと思うなよー!!」・・・え?
さっきまで馴れ合ってたのに急に敵同士感を出されても・・・私にとって1話はとんでもない苦行でした。
じゃあなぜ、このあとも視聴を続けたのかというとEDの「よいまちカンターレ」が神曲だったから。
語らずにはいられない「よいまちカンターレ」
どんな悪い作品でも音楽が良ければ大体1つの褒められるべき評価点としてそれは大衆が見るべき作品へと変貌します。デフォルメキャラというか素っ気ないけど味気のあるデザインで作られた映像センスも抜群ですが、何よりサビのリズム感が天才的。コード進行とか分かりませんがビビビッと来ました!!
歌詞もなかなか良くて全体的に一見取っ散らかっているようで、最終的に落ちどころがついている曲になっている。さらに細部ごとに見てみると実はよく考えられた歌詞になっているのがアニメ、原作が進むほどわかるようになっています。特に「この町で出会えた奇跡~」からサビの「かなえてよ」に繋げていくセンスに感動。
「まちカドまぞく」というタイトルでちゃんと「町で出会えた奇跡」というワードが入ってることでああこの作品は、やっぱり「町」がテーマなんだなとわかるし「奇跡」から一期一会的な運命を大事にしているのかな~と想像出来るくらいには期待を持たせてくれるもの良い。「町で出会えた奇跡」から「かなえてよ」に繋げるところも、「かなえてよ」がいわば奇跡の部分を修飾しているわけですね、わかりやすく言えば倒置的な文法になっているわけです。ここ熱すぎだろ。
作詞した伊藤いづもさんは原作者らしい。EDの歌詞を原作者に任せるとかやっぱりまちカドスタッフ分かってるじゃん。。そしていづもさんの歌詞センスどちゃくそ高いやん。。。
毎回このEDが聞けるなら見る価値あるわ。
まあニコニコでコメントつけながらじゃないと見る気ないけど
(私もgif作っておいたからみんな布教してね)
全然面白くないのに超重要な2話
全然ではないですかね、あまり面白くないくらいです。
このシーンとかは普通に笑いましたw
ただでさえ「ダンベル何キロ持てる」で筋肉ネタに今めっちゃよわいし、敵に電話番号が流出するっていう普通のアニメじゃまず見られない謎のネタも面白かった。魔法少女=物理少女みたいな古典ネタをやってくるのもさすがに反則w この辺は普通に良い良い。
ただこの2話は「まちカドまぞく」を語る上で欠かすことできない話になっていきますが、何かと奇行が目立つシーンが多かったように感じました。
特にシャミ子の奇行が目立ってる気がします。
月4万円の貧乏生活してて、親の苦労もわかってる聖人がいきなり外食でお金使いますかね?一応友達をあまり心配させすぎないためということで自販機でコーラも買ってますけどちょっと違和感を感じました。私ならそんな無駄なことには絶対使わない。
あと原作では小倉いなかったのになんで小倉がいるのかわからない。小倉を単なる奇行キャラにするなよ。
でも、これが重要な伏線になっているんですよね。
3話から爆発的に面白くなる
3話冒頭からいきなりご先祖様がシャミ子の夢の中に現れます。
ここからですね、「まちカドまぞく」が一気に面白くなるのは。
このご先祖様は何かを伝えるために来ていると思うのですが、この夢空間はシャミ子の深層心理が元になっており、いろんなものが出てきます。
はい!出ました!!前回のフードコート!!!!!
おまけにきっちり回収するコーラ!!
シャミ子がフードコートに行く意味はちゃんとあったのだ!!!!
これマジで作者天才じゃないですかね? 視聴していた際おもわず感動の溜め息が出てしまいました。この鮮やかで合理的かつ高速な伏線回収・・・。称賛に値します。
ここで出てくるのがいわばシャミ子の血税である380円のうどんを思い出すフードコートと120円のコーラだから面白いわけですね。そのことをちらっと思い出せる笑いもある絶妙な伏線回収かつご先祖パートになってます。素晴らしいよ。すごいよまぞく。
ここから先は普通にギャグアニメとしても楽しめました。魔法少女との絡みも1話じゃ理解に苦しみましたが、設定と分かればとても面白いです。
制服をダメにしてしまい、突然出てくる魔法少女から制服を借りるシャミ子。妖精みたいだとフォローを受けるシャミ子。「不器用なフォローは要りません」
唐突にスカートをめくる魔法少女w ブチ切れるシャミ子w
面白すぎる。
なぜこんなに面白いのか、それは作者の天才的センスがあるからそれだけですね。
作者は「お笑い」をわかっている
このアニメは決めゼリフというかお約束を結構大事にします。
「これで勝ったと思うなよーー!」
「そこはあまり引っかからなくていい」
「変身したら脱衣扱い → 脱いでません!!」
「シャミ子が悪いんだよ・・・(言ってない)」
一般的なギャグコメディ作品はその場その場でギャグを取り入れていきますが、「まちカドまぞく」はこれらをまずお約束としてベースにしています。
この決めゼリフを定番ギャグにしつつ、その場その場のギャグを混ぜ、さらにストーリーもしっかり進めることで絶妙なバランスになり視聴した時の満足感になっているわけですね。
「これで勝ったと思うなよ!!(小声で言うともの足りない!)」←かわいい
桃「(これで勝ったと思うなよ)」
シャミ子「ん?」
桃「・・・。」(フンフン)
決めゼリフを小声で言う、違う人が言う。定番ネタにバリエーションを付けることで笑いを飽きさせない手法・・・。まるで「さんまのお笑い向上委員会」見ている感じです。本当に面白いと思います。
そしてこのお約束の流れの中に唐突なギャグが入ってくるわけです。
桃「この子はメタ子。今はもう9割7分ただの猫」
シャミ子「喋るところ見たいなー」
メタ子「時は来た・・・」
シャミ子「!!!」
ギャグの威力が高すぎる。この力づくで笑いを取っていくスタイル、ほんとすき。一体何の時が来たんだよ。昔は喋ったのかーとか考えてたら急に喋り出してもう笑うしかありませんでした。
ちゃんと筋のあるストーリー
ギャグコメディを主軸に話は進んでいきますが、展開がないわけではなく物語はしっかりと存在するようです。
下の画像は敵であるはずのシャミ子を鍛える謎の魔法少女のシーン。そういえば最近のアニメはこういう特訓シーン減りましたね。
魔法少女「魔力出して」
シャミ子「出せません!」
魔法少女「出せるか出せないかじゃない、出すんだよ」
シャミ子「何をおっしゃってるんですか?!」
魔法少女「この棒持って」
シャミ子「ほんのりぬくい・・・」
魔法少女「そういうことどうでもいいから」
魔法少女「フレッシュ☆ピーチ♪ハート♡シャワー!」
シャミ子「なんて?」
魔法少女「そこは引っかからなくていい」
私が面白かったと思うセリフ集は置いといて、ここでこの町以外の魔法少女についても分かりましたね。魔法少女いわく「自分のように戦闘要素控えめな人もいれば、容赦ない人もいる」とのこと。
ギャグの合間合間にシリアスなストーリーを混ざっていくことで話に緩急がつき、見る側を飽きさせません。
各話を通すと意外にもストーリーが一歩ずつ前進してるのが見てわかります。ただ日常系好きや百合好きにはこの若干シリアスなストーリーが進むのがあまり好評ではないらしい。なんか話を聞くと百合要素多めにもっとイチャコラしていて欲しいとのこと。残念。
百合要素も素晴らしい
一応れっきとしたきらら系なので百合要素もあります。
6話で桃の作ったハンバーグをシャミ子が食べるシーン。
料理下手な彼女の失敗作を食べてあげるという、ラブコメの波動しか感じない名場面です。そして食べ終わった後のこの笑顔、こんなん見せられたら落ちるしかない。。
料理が武器になるという3話の伏線を百合要素の中で回収していくのがたまらなくいいですね。百合はその場のいちゃいちゃだけより、ストーリーと絡めてこそ光り輝くと百合厨の私は断言します。このあとシャミ子が桃を自宅に招いて料理を教える約束をしますが、過去の伏線と未来への伏線が混じりあってもう最高のシーンです。
・・・別に私は伏線大好き野郎ではありません、、過去の行動に整合性が取れて現在の行動への一貫性が見えたときや、未来の行動に可能性が芽生えた時にたまらなくワクワクしてしまうという性分なだけです。
上のシーンで言えば【過去:桃が料理苦手と言っていた】【今:桃が料理の練習をしてシャミ子が食べる】【未来:シャミ子が自宅で料理を教える約束】これらが1つのストーリーとして出来上がり、のちには彼女らの大切な思い出と化していくわけです。素敵でしょ?私は素敵だと思いますけどね!
血を取られてすぐ自宅にやってきた桃に対して、まず心配して中に上げるシャミ子。ついでにうどんを振舞ってあげるシャミ子。
桃が「初めて一緒に食べたのもうどんだったなぁ」と振り返るシーンで、感動された視聴者も多いのではないでしょうか。もうこの二人は思い出を振り返れるだけの時間を過ごしているんですわ。「まちカドまぞく」製作側はやっぱり分かってる。
5話でシャミ子の妹・良子と桃が初めて会ったとき、桃がシャミ子から「親友の桃ちゃん!」と紹介されるシーン。それまでは二人称も桃呼びだけでなく魔法少女だったり貴様呼びだったところで、あまりに唐突な「桃ちゃん」呼び。おまけに親友付き。動揺する桃が可愛すぎる。
こういう段階をしっかり踏んでくれるのがとてもよいですね。。
話のテンポがいい
いまさら言及することではないかもしれませんが、登場人物が基本的に早口です。
特にシャミ子。彼女は丁寧語ですがひたすら喋り倒すので物語がテキパキ進みます。テンポがいいから原作の話をかなり消化してるのかと思いきや、アニメ6話終了時点で原作1巻終了らしいです。なんという丁寧さでよくできたアニメ制作なことか。
普通これだけ面白くてテンポが良いと、原作話の消化が早かったりするんですがとてもコスパの良い作りになってます。まちカドスタッフはすごいですよほんと。しかも原作は4コマという、、作者はよくこれだけのギャグと物語展開と伏線回収を4コマで出来るなぁと思います。
けいおんを思い出す。
(いったん) 総括
「まちカドまぞく」は間違いなく名作です(今後の展開にもよりますが)。全体的に見てもギャグ、物語、その演出が高水準でまとまっていると思います。独特なワードセンスで中毒になってる方もよく聞きます。
今はまだよわい魔族が最強の魔法少女と街で楽しく過ごしてるだけですが、桃が世界を救ったという過去設定もあるので今後2人で街を守るために本格的に戦うことになっても違和感はないくらいに、設定を固めることが出来てるのではないでしょうか。
もちろんきらら系4コマなのでそんな超絶バトル展開のようなものはないと思いますが、感動する話になっても面白そうだなと考えております。
そんなこんなで今回はこれくらいで。
原作は単行本分なら読破しているのでその感想も気が向いたら書いてみたいと思う。2期確定らしいから2期は3~4巻、5巻は映画化して欲しいですわ。みんなもきっとそう思っているはず。
それではまた。
abemaや配信アプリで分かるけど、荒しや煽りが酷いアニメだからそんなにいいアニメではない。
筆者の評価は個人的だけど・・一般的な評価は入ってないから、あまり参考にはならないかな。
煽り、批判、下ネタ、中傷、キッズの多いアニメがこんなに好評価の訳が無いですよ。